top of page

Q 復刻版のものは、書籍をスキャンしただけのようだが、以前問題となった「自炊」と同じで、著作権法上問題はないのか?

A 

 著作権法上の問題は全くありません。「自炊」で問題となったのは、現に著作権が存続している最近の作品を、スキャン業者が各個人から委託を受けて複製をしたことによります。

 響林社文庫に収録している復刻版は、著作権が切れている作家・作品であり、また発行後概ね50年以上経過し、現在では新刊としては入手が難しくなっているような古書の版面をスキャンしているものです。出版社の権利である出版権が出版当時には仮に登録されていたとしても、それは著作権の保護期間満了とともに失効しています(なお、版面権はもともと著作権法上はありません)。

 国立国会図書館の「デジタルコレクション」(旧「近代デジタルライブラリー」)に収録されている作品群は、戦前のものが大半ですが、古書を複写したものという基本的性格は、響林社文庫の復刻版も変わりません。

 

Q 復刻版として、版面固定型のものが多数あるが、キンドルなので、リフロー型にして、字の大きさを調整できるようにできないのか? 手抜きではないのか?

A 

 リフロー型が便利だというご指摘はわかりますが、しかし、キンドル等で提供されている文芸作品のリフロー型のもので、著作権が切れている近代作家の作品群の多くは、ボランティアの皆さんが長い期間と労力を費やして仕上げられた青空文庫のフリーのファイルを活用したものが少なくありません。もちろんそれ以外にも、いくつか出されていますが、リフロー型の電子書籍を作るには、(初めからリフロー型の電子書籍の発行を予定して製作されたものでない限り)紙書籍を基にして活字読み取りソフト等を活用するとしても、多大な労力とコストが必要です。青空文庫にしても、ボランティアの方々が一つの作品を仕上げるのに、校正も含めて数年間の歳月を要しています。

 需要がよほど見込まれる作家、作品であれば、制作コストに見合うだけの販売収益によって商業ベースに乗せることはできると思われますが、死去して半世紀以上経過している作家について、それが期待できるのはごく一部の例外的ケースです。埋もれた良書、貴重本を商業ベースで提供することは、紙書籍でもなかなか困難ですし、同様にコストと手間のかかるリフロー型電子書籍にすることも、困難が大きいと言わざるを得ません。その点で、電子書籍による復刻版は、紙書籍やリフロー型電子書籍の形ではコスト面、需要面で困難な作品でも、低コストで比較的容易に提供することができます。

 数年前にいろいろ話題となったGoogleの電子書籍のGoogleブックスにしても、図書館の蔵書等をスキャンして版面固定型で提供されています(GooglePlayブックスとは別です)。キンドルにおいても、国会図書館のデジタルコレクションをもとにして「キンドル・アーカイブズ」として提供されているものも、版面固定型です。

 どうかこのような事情をご理解いただければ幸いです。

Q もう少し、電子書籍による復刻版発行のメリットを説明してほしい。

A

 電子書籍による版面固定型の復刻版は、次のような大きなメリット、意義があると考えています。

①複写のため、校正が不要となり、迅速に多くの作品が提供できる。原本の古書さえ

 入手できれば、提供可能。
②簡易でスピーディに電子化できるスキャナーが普及しているため、低コストで制作

 でき、しかも流通コストがほとんどかからないため、書籍の料金を低廉にすること

 できる。紙書籍の復刻版のように、高コストにはならない。
③絶版となった書籍や稀少な古書は、古本市場でも価格が数千円~数万円と高く設定

 されるものも少なくないが、電子復刻版の形にすれば、比較的廉価に多くの読者に

 提供が可能となる。
④古書の黄ばみ、シミ、製本破損等に関係なく、読みやすいように再生が可能にな

 る。特に昔の書籍印刷(昭和50年頃まで)は、印刷方式のせいで、字が薄くかすれ

 気味で読みにくいものが少なくないが、電子復刻版にすると比較的字が濃くなっ 

 て読みやすくなる。
⑤原本の装丁、活字の雰囲気等を、感じ取ることができる。活字ひとつとっても、時

 代の変遷や出版社の個性を感じとることができる。

 こうやって考えると、古書をスキャンした版面固定型の電子書籍は、青空文庫の補完的役割を果たすことができ、多くの埋もれた作品群を読者のお手元に多数、迅速かつ廉価に、紙の痛み・汚れ等を感じさせることなく、見やすい形でお届けすることができると思っています。読書メディアの選択肢のひとつとしてご理解いただければ幸いです。

Q 持っているキンドルの端末では、字が小さくてよみにくいし、拡大しようとするとはみ出てしまう。何とかならないのか?

A

 複写している原本の古書の大きさは様々です。文庫本サイズから単行本サイズ、週刊誌サイズまで各種あります。原本を複写したものの上下左右の空白部分を、ある程度削除することにより、少しでも字が大きくなるようにしてはいますが、端末が小さいとどうしても読みにくくなってしまいます。

 できる限り、9インチ程度以上のタブレットやパソコンにてお読みいただければと存じます。キンドル専用端末でなくても、汎用タブレットやパソコンで、キンドル書籍の閲覧アプリ、ソフトは無料で入手可能です。

 

Q 奥付が削除されているケースが多いが、どうしてか?

A

 電子書籍の各種出版サイトでは、原本の奥付を削除するように指導される場合が少なくありません。このため、削除していますが、その書籍の販売サイトにおいて、複製した原本の書誌情報を記載していますのでご参照下さい。

 

Q 解説や挿絵が掲載されていない場合が多いのはなぜか?

A

 解説を書いたり、挿絵を描いたりした方には、まだ著作権が存続している例があります。その場合には、掲載しておりません。ご諒承下さい。

 

Q 国立国会図書館の「デジタルコレクション」(旧「近代デジタルライブラリー」)に収録されている作品も含まれているが、重複して発行する意味があるのか?

A

 国立国会図書館の近代デジタルライブラリーに収録されている複写ファイルは、誰でも閲覧やダウンロードができる貴重な存在です。ただ、見開きの複写(2ページ分で1枚)が一般的ですし、背景が茶色く変色してしまったものや、シミ、汚れがそのまま複写されているものが少なくありません。

 響林社文庫では、極力、原本を入手した上でそれを複写していますが、国会図書館のデジタルコレクションのファイルを利用する場合でも、できる限り、背景の色抜きや変色・シミの除去等の加工を施して読みやすくした上でご提供しているものです。

 

bottom of page